話題作・大明皇妃。ドキドキしながら視聴していると、いきなり長文の詩ではじまり「???」と思われた方も多いのではないでしょうか。
日本人には馴染みのない詩だったので、
「一体なんの詩?誰が詠んだの?どういう意味?」疑問がわきおこりました。
この記事では大明皇妃の第1話冒頭の詩について調べたことをまとめています。
「これらの詩の意味は最終話まで見ないとわからない」と個人的に思っています。
私の感想はクリックしないと見られないようにしていますので、
最終話を見終わったら、是非もう一度この詩を振り返ってみてくださいね。
自分で暗唱したい方のためにピンインも表記しました。
中国語の勉強のお役に立てばうれしいです。
古詩十九首とは?
第1話がいきなり詩ではじまり困惑(>_<) スルーしました。
どれも、古詩十九首(≪昭明文选≫に収録された東漢の五言古詩)の詩です。
この十九首の詩は作者不詳でありながら、古代の人々の素朴な感情を歌ったものとして後世の文人に愛されたと言われています。万葉集みたいな感じかしら?
驚いたことに、この≪昭明文选≫をまとめた昭明太子の生没年が501~531年(聖徳太子の祖父、曾祖父の時代)。それ以前に詠まれた詩を収録しているのですから確かに古詩ですね。
個人的には最終話まで見終わってから、この3首の詩をもう1度味わうことをオススメします(^^)
それでは、早速みていきましょう!
涉江采芙蓉
涉江采芙蓉,兰泽多芳草 shè jiāng cǎi fú róng lán zé duō fāng cǎo
采之欲遗谁,所思在远道 cǎi zhī yù wèi shéi suǒ sī zài yuǎn dào
还顾望旧乡,长路漫浩浩 huán gù wàng jiù xiāng cháng lù màn hào hào
同心而离居,忧伤以终老 tóng xīn ér lí jū yōu shāng yǐ zhōng lǎo
遗(wèi) 贈る
同心(tóngxīn) 男女間の愛情。この詩では夫婦の深い愛情。
忧伤(yōushāng) 悲しむ 心が痛む
遠く離れた故郷と会えない妻を思う詩です。
孫若微のどんな気持ちを表しているのでしょうか?
実は「涉江采芙蓉」というフレーズは、第2話で朱瞻基が孫若微を呼び出して酒を飲む場面でも出てくるんです。朱瞻基が注文したお酒は芙蓉春いう名で「涉江采芙蓉,所思在远道」と朱瞻基はつぶやきます。
本当は朱瞻基を亡き者にしなければならなかった孫若微。そうしなかったことで運命の歯車が回り始めました。
この詩は孫若微と朱瞻基という夫婦(志を同じくする者)を振り返る詩ではないか、と私は思います。
「朱瞻基にもっと長生きして欲しい」という気持ちが感じられます。
明月皎夜光
明月皎夜光,促织鸣东壁 míng yuè jiǎo yè guāng cù zhī míng dōng bì
玉衡指孟冬,众星何历历 yù héng zhǐ mèng dōng zhòng xīng hé lì lì
白露沾野草,时节忽复易 bái lù zhān yě cǎo shí jié hū fù yì
秋蝉鸣树间,玄鸟逝安适? qiū chán míng shù jiān xuán niǎo shì ān shì
昔我同门友,高举振六翮 xī wǒ tóng mén yǒu gāo jǔ zhèn liù hé
不念携手好,弃我如遗迹 bú niàn xié shǒu hǎo qì wǒ rú yí jì
南箕北有斗,牵牛不负轭 nán jī běi yǒu dǒu qiān niú bú fù è
良无盘石固,虚名复何益? liáng wú pán shí gù xū míng fù hé yì
促织(cùzhī) コオロギ
玉衡(yùhéng) 北斗七星の5番目の星
孟冬(mèngdōng) 元々は冬の最初の月を指す言葉。ここでは方角:西北を意味する。
翮(hé) 六翮でよく飛ぶ鳥の翼を指している
轭(è) 牛や馬に車を引かせるときに首にあてる横木
出世して羽振りの良い同学の友に見捨てられ、友情のもろさを詠んだ詩。
孫若微の人生のどの時点に思いを寄せた詩なんだろう?手を離した人物って誰?と考えながら、この詩を読んでみました。以下、私見です。
朱瞻基…コオロギが出来てきたので、まず朱瞻基を思い浮かべましたが、彼は最後まで孫若微を思い、そばにいた人だから違うような気がします。
徐濱…孫若微の人生のために退いた人物。「一緒に逃げて」と頼まれても、断りました。でも、おかげで出世したわけじゃないし、最終的には離れずにいたから、徐濱も違うかな。
妹・胡善祥…皇后になり出世して、姉をライバル視して悪事を働いたから、一番しっくりくるような気がします…。
息子・朱祁鎮…確かに孫若微から離れていったけど、自立の過程だから、この詩の少し恨めしい感じとは違う気がしますね。
迢 迢 牵 牛 星
迢 迢 牵 牛 星 , 皎 皎 河 汉 女 tiáo tiáo qiān niú xīng jiǎo jiǎo hé hàn nǚ
纤 纤 擢 素 手 , 札 札 弄 机 杼 xiān xiān zhuó sù shǒu zhá zhá nòng jī zhù
ドラマDVD版はここで終っていますが、続きは以下の通り
终 日 不 成 章 , 泣 涕 零 如 雨 zhōng rì bù chéng zhāng qì tì líng rú yǔ
河 汉 清 且 浅 , 相 去 复 几 许 ? hé hàn qīng qiě qiǎn xiāng qù fù jǐ xǔ
盈 盈 一 水 间 , 脉 脉 不 得 语 yíng yíng yī shuǐ jiān mò mò bù dé yǔ
日本語に訳されたものを読みたい方は伊賀山人さんのブログをご覧ください。歴史的なことなども詳しく書いてあり、勉強になります。https://igasanjin.muragon.com/entry/516.html
河汉(héhàn) 天の川
擢(zhuó) (文語)抜く 素手(sùshǒu) (文語)白く美しい手
机 杼(jīzhù) (文語)織機 成章(chéngzhāng) 筋が通っている 条理を成す
脉脉(mòmò) 情のこもったまなざしでじっと見つめる
織姫と彦星の会えないつらさを歌った詩。
音読してみると、切ない気持ちになります。
エンディングテーマを見てしまうと、この詩は孫若微と徐濱の純愛の詩だな…と思います。
この世では一緒になれない運命だったふたり。まるで天の川に隔てられてしまった織女と牽牛のようにも思えます。詩が途中で終っているのには、何か意味があるのかもしれませんね。(分からないけれど^_^;)
音声を聞きたい方はyoutubeで迢迢牵牛星で検索してみてください。朗読の動画がでてきます。
まだまだあるよ!大明皇妃の詩の世界
今回、第1話に登場した3首を紹介しました。
この先にも、たくさんの詩が登場しますので、随時とりあげていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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