君、花海棠の紅にあらずから脱線しているらーじゃおです。
君、花海棠の紅にあらず19話20話で出てきた京劇・捜孤救孤の原典が趙氏孤児と知ってまもなく、U-NEXTで天命の子~趙氏孤児の配信がはじまりました。
主演は三国志〜司馬懿 軍師連盟〜で日本での知名度をあげたウー・ショウポー(呉秀波)さんと琅琊榜<弐>~風雲来る長林軍~のスン・チュン(孫淳)さん。
お試し気分で見始めたら、すっかりハマってしまいました。
全45話という長さを感じさせないスリリングな展開の天命の子~趙氏孤児のあらすじと感想・見どころをキャスト情報とともにお伝えします。ネタバレしていますので、嫌な方は感想・見どころの手前まで読んでくださいね。
この記事が「天命の子〜趙氏孤児を見ようか迷っている」方の参考になればうれしいです。
作品情報と評価
タイトル:天命の子〜趙氏孤児(原題:赵氏孤儿案)全45話
公開:2013年3月放送(中国 CCTV)
評価:豆瓣排行榜 8.1(10点満点中)
中国CCTVは国営放送で日本のNHKに近いです。ゴールデンタイムに放送されていたので、日本の大河ドラマのような扱いだったのでしょうかね。中国ドラマは長さからすると殆ど大河?
たまに24話とかだと理由があるのか?と勘ぐってしまう
豆瓣の中国ドラマの最高評価が紅楼夢(1987)、大明王朝1566、走向共和、毛騙 終結編の9.7なので、すごく良いわけでもないけど評価はされてるよ、という感じでしょう。
豆瓣で日本アニメの評価が高くて驚き!ハイキュー!!3は9.8の最高評価
天命の子〜趙氏孤児◇あらすじ
ドラマ、映画、小説によってアレンジが違うのですが、天命の子~趙氏孤児というドラマではこのような設定でストーリーが展開します。
中国・春秋時代。医者・程嬰は偶然、晋の趙朔の危機を救う。趙朔の人格を慕う者は多く、公孫杵臼もその1人。朝廷の重鎮・屠岸賈にそそのかされた晋の景王は趙朔を脅威と感じ始め、「趙家断絶」を決断。ちょうどその頃、荘姫(趙朔の妻)と屠岸賈の妻、程嬰の妻は男児を出産していた。
趙朔の子を託された程嬰と公孫杵臼。屠岸賈をあざむくために程嬰と公孫杵臼が選んだ道は…
景王はさほど優秀な王ではなかったらしく、 屠岸賈の作戦にまんまと引っかかってしまうんだな…。 陳凱歌監督の映画『運命の子』の景王なんてふわふわしていて「もうっ!」って感じなんだけど、天命の子〜趙氏孤児の景王は悩みつつ屠岸賈についてしまう設定。
天命の子〜趙氏孤児◇登場人物・キャスト
練練(エイラクの愉貴人)がどんな役か気になり、無料第1話をU-NEXTで視聴したら、まさかの全話登場でした。
それでは主要登場人物を見ていきましょう。
程嬰:ウー・ショウポー(呉秀波)
亡き趙朔の息子を我が子として育てる医者。見た目は普通の庶民だが、洞察力・忍耐力に優れ、決断力もある。朝廷の重臣・ 屠岸賈が一目置く存在。
ウー・ショウポーさんは天命の子〜趙氏孤児の演技で国際エミー賞の最優秀男優賞にノミネートされました。「自分の子どもには成長してから見せたい」とウー・ショウポーさんは言います。「世の中には善と悪が共存していることを理解してから見ることで、このドラマの本当の意味がわかる」と考えているそうです。
この作品や三国志〜司馬懿 軍師連盟〜のような時代劇も良いけれど、私はウー・ショウポーさんのラブコメも大好きです。
タン・ウェイさんと共演する北京ロマン in シアトル(原題:北京遇上西雅图)と本がつなげる恋物語(原題:北京遇上西雅图之不二情书)はとても素敵。
北京ロマンinシアトルはFinding Mr.Right というタイトルでNetflixで配信されています。https://www.netflix.com/jp/
屠岸賈:スン・チュン(孫淳)
趙朔を追い詰め一族滅亡に追いやる残酷さを持ちつつ、妻と子を愛する屠岸賈。とんでもない悪者と思いきや、だんだん好きになってしまうのは多分、スン・チュンさんだから。
琅琊榜<弐>~風雲来る長林軍~の簫庭生( 簫平章の父)の記憶が一番新しいのでは。
琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~と琅琊榜<弐>~風雲来る長林軍~ はU-NEXTで配信中です。(2024.2月現在)最新の状況はサイトでご確認ください。https://video.unext.jp/browse/genre/MNU0000134/MNU0000751
屠岸賈は顔を上向きかげんにして目を細める仕草をよくします。これはスン・チュンさんが考えたもので、屠岸賈のうぬぼれや威風を示しているそうです。スン・チュンさんは「屠岸賈の野心や権謀の背後にあるのは智慧で、それが人々をひきつけるのだ」と語っていました。スン・チュンさんの演技なくして、 天命の子〜趙氏孤児の成功はありえなかったでしょう。
荘姫:チェリー・イン(応采児)
天命の子〜趙氏孤児の紅一点。程嬰が忠義をつくす趙朔の妻で、趙武の母。
撮影後の記者会見では笑顔で妊娠中であることを明かしたチェリー・インさん。夫は俳優の陳小春さんです。
公孫杵臼:チャン・イーウェン(張譯文)
趙朔の食客で忠義に厚い男。武芸に秀でているが計略はイマイチなので、程嬰といいコンビ。
このドラマで一番男前なのに前半で消えたせいか宣伝用の画像が少なく、ここで紹介できないのが口惜しや…。ドラマで見てください。
趙武:ワン・ユー(王雨)
程嬰と宋香が我が子・程大業として育てた趙家の跡取り。
『鶴唳華亭』の許昌平や『清越坊の女たち~当家主母~』の李照など知的な役どころで注目を集めているワン・ユーさんですが、天命の子〜趙氏孤児では髪がボサボサの趙武を見ることが出来ます。
ワン・ユーさんの妻は瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜の純貴妃・ワン・ユエンカー(王媛可)さんです。ワン・ユエンカーさんの出演する瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜の記事はこちら。
宋香:リエン・シューメイ(練束梅)
程嬰の妻で明るく元気な女性。すり替え事件のショックで正気を失ってしまう。
化粧っけがなくてサバサバした役柄なので、 瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜の愉貴人と違う姿が見られます。愉貴人(芸名はリエンリエン)はワン・ユーさんの欄で紹介した瓔珞VS如懿伝…古株編の記事で見ることができます。
天命の子〜趙氏孤児◇感想と見どころ
注意!ここからは思いっきりネタバレしてます。
久々に骨太のドラマを見た
仙境、恋愛、ブロマンス、盗墓などなど、ハマるドラマはたくさんあったけれど、天命の子〜趙氏孤児は他のドラマがナヨナヨして見えるほど強烈なドラマ。
テーマは忠、義、孝とかなり重いです。説教くささは全くありません。それを感じさせないのは展開のせいでしょうか。
程嬰と屠岸賈のかけ引きがスリリング。重いテーマは前半20話と後半5話で浮上し、ドラマの中盤・20話の間は奥底にしずかに潜んでいます。それが19年にもわたる程嬰の執念深さ(忍耐強さともいう)によく似ている、と感じました。
ストーリーは分かっているのに、次が見たくなる
正直言うと、見る前はたぶん飽きると思っていました。だって展開を知っているから。
趙氏孤児は司馬遷の史記にものっている有名な話。何度も舞台や映画・ドラマになっている物語というのは人間の本質に訴えかける「何か」があるため、繰り返されても飽きないのだと思います。それが天命の子〜趙氏孤児でも失われていなかったから、45話一気に見てしまったんだろうな…。
日本だと何の話があてはまるでしょうか。赤穂浪士かな?いい例が思いつきません。
美人は荘姫だけ
華やかはゼロに近いドラマ。荘姫も最初は綺麗な色合いの衣装ですが、子を失ってからは服は白黒で復讐の炎をメラメラ燃やしています。後宮もののストーリーを期待してはいけません。
これはおじさんVSおじさんの戦いの物語なのです。
冴えない中年男がヒーロー
ちょっと冴えない男を演じたら右に出るものはいないウー・ショウポーさん。
ペコペコ腰を低くして、それでいて「おまえは軍師か?」とツッコミたくなる位、先を読む力に優れたおじさん・程嬰。
これは絶対に中高年のおじさんの心をうつ。
NHKの中国ドラマ枠に 天命の子〜趙氏孤児 を放送していたら成功だったのに、と思いました。
納得できない理由を自問自答
「自分の子を犠牲にして、主君の子と民の子を守る」という行動は私にはできません。
程嬰の選択は今も昔も少数派でしょう。
だからこそ、稀有な話として語り継がれたのね
自分にできないけど否定的な感情があるわけではなく、尊敬の念もあったりします。
見どころ
程嬰が息子を身代わりにするか悩むシーンが一番心をうちました。
決断に苦しみ息子に話しかける程嬰と、話の内容が分かっているのかいないのか機嫌よく笑う赤ちゃん。その笑顔は菩薩だと感じました。翌日の我が子を投げ落とす場面はこの迷いがなければ意味を持たない、と言い切れる名場面です。
ツッコミどころも満載です。
趙武を守りながら宿敵・屠岸賈と生活する程嬰一家。何度もバレそうになりながら、恐るべき程嬰のコネ(人徳?)によって危険をいつも回避してしまう。「スマホもってたんちゃうか?」と疑いたくなるほど他国への連絡が早いです。
最後に
細いことをツッコミだすと長くなるので、これにて終了します。
紀元前におきた出来事に感動し共感する自分に出会える 天命の子〜趙氏孤児 は見る価値のあるドラマです。
45話長いよ!という方は1.5倍速で見るか、陳凱歌監督の映画『運命の子』をご覧ください。荘姫が范冰冰、趙朔が趙文卓、なんと言っても程嬰に『活きる』の葛優、屠岸賈に王学圻(『大明皇妃』の朱棣)という豪華キャストです。
映画 運命の子 は中国動画サイトYOUKUでみれます。こちらは中国語字幕のみです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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